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これが私の優しさです [本のこと]


これが私の優しさです 谷川俊太郎詩集 (集英社文庫)


作者: 谷川 俊太郎
出版社/メーカー: 集英社
発売日: 1993/01/20
メディア: 文庫




今朝、何気に入った本屋さんで見つけました。

谷川俊太郎氏の詩集は何冊か持っているはずなんですが

1952年に出された「二十億光年の孤独」から

「六十二のソネット」から

「空に小鳥がいなくなった日」から

などなど 1993年までに谷川氏が出された

詩集・エッセイ集の中から集められた優しさがちりばめられた本です。

文庫初版は1993年 2012年で30刷 ベストセラーですね。

知りませんでした。


パラパラッと読んで 心の中にすーっと沈み込んだ詩


からだの中に

深いさけびがあり

口はそれ故につぐまれる


からだの中に

明けることのない夜があり

眼はそれ故にみはられる


からだの中に

ころがってゆく石があり

足はそれ故に立ちどまる


からだの中に

閉じられた回路があり

心はそれ故にひらかれる


からだの中に

いかなる比喩も語れぬものがあり

言葉はそれ故に記される


からだの中に

ああからだの中に

私をあなたにむすぶ血と肉があり


人はそれ故にこんなにも

ひとりひとりだ



「空に小鳥がいなくなった日」より



rose.jpg






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ちょっとピンぼけ [本のこと]


ちょっとピンぼけ (文春文庫)


作者: ロバート・キャパ
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 1979/05
メディア: 文庫




「ロバート・キャパ ゲルタ・タロー 二人の写真家」展が

横浜美術館にて3月24日まで開催されています。

田舎に住んでいる私は なかなか観に行けず とても残念な思いです。

それにともなってか 先日 NHKスペシャルで

作家 沢木耕太郎氏をナビゲートに

「推理ドキュメント~"戦場"写真 最大の謎に挑む~」を放送していました。

ロバート・キャパという名を全世界に広めるキッカケとなった写真

「崩れ落ちる兵士」の謎を探っていく内容で とても興味深く拝見。

ロバート・キャパという名は

アンドレ・フリードマンとゲルダ・タローの2人によって

創り出された架空の写真家であったという事実は あまり知られていないようです。


「崩れ落ちる兵士」という誰もが知っている有名な写真は

どこで どのように だれが 撮影したのか? だれが?

だれが? ロバート・キャパことアンドレ・フリードマンが撮ったんじゃないの?


そんな疑問を追っていくうちに あるひとつの事実が分かり

それによって

アンドレ・フリードマンがロバート・キャパと名乗り

常に戦場の最前線に立ち 悲惨な戦争を撮り続けた

深い悲しみの荷を背負ったキャパの心の中が垣間見えるようでした。


22歳という若さで 耐え難い深い深い悲しみの十字架を背負い

40歳という若さで 戦場の真ん中で亡くなってしまう


若い時の読んだキャパの著作「ちょっとピンぼけ」を

あるひとつの事実を理解したうえで 今 読むと

キャパが背負った十字架の重みが

少しは感じる事ができるのかもしれない。



ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー  二人の写真家展


沢木耕太郎 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~

このNHKスペシャルがまた再放送されるかオンデマンドで見る事が出来たら

是非とも 見て欲しいと思います。



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The Arrival [本のこと]


The Arrival




作者: Shaun Tan
出版社/メーカー: Arthur a Levine



あるところで、ある方と泣ける絵本のお話をしていて

この Shaun Tan の The Arrival を思い出し、

その方にとても素晴らしい本なので見てください。とおすすめした。

百聞は一見に如かず なので、今度、その本を持っていくつもりではありますが。



Shaun Tan (ショーン・タン)はオーストラリアのイラストレーターであり

絵本作家、映像作家でもある。

マレーシアから西オーストラリアに移住したお父さんの経歴が作風に影響を与えていて

The Arrival は、戦争、民族迫害、民族浄化などで祖国を追われた移民の

お話が寓話的に描かれています。まるで夢のような。

表紙の扉を開けると60人あまりの様々な民族、人種の顔の絵が描かれている。

そう、この地球にはいろいろな国があり、いろいろな民族が住み、いろいろな人種が

穏やかで幸せな生活を営んでいる。

そんなささやかな暮らしを望んでいるだけのなに

何故、人々は祖国を捨て追われなければいけないのか。

ショーン・タンの丁寧に描かれた、幻想的で悲哀をひめた絵。

言葉(文章)は一切書かれずに絵だけで苦しみ、情愛を表現されている。

とても心に響く素晴らしい本です。



arrival.jpg





ショーン・タンの作品集のような絵本で、

ページをめくる度にひとつひとつの絵が語りかけてきます。


その中でも最後のページが、やはり1番好きな絵かな。

本のタイトルそのままに。

そして、これから始まるであろう人々の幸せな未来を願って。


ショーン・タンの公式ウェブサイト



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バートルビーと仲間たち [本のこと]


バートルビーと仲間たち


作者: エンリーケ・ビラ=マタス
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2008/02/27
メディア: 単行本







著書『白鯨』で有名なハーマン・メルヴィルが描いた摩訶不思議な寓話的なお話

代書人バートルビーから

バートルビー症候群なるものが生まれた。

I would prefer not to.

せずにすめばありがたいのですが。

最初は真面目に仕事をしていたバートルビーが

一切、周りを遮断して、何か頼まれても何を言われても

I would prefer not to.

せずにすめばありがたいのですが。

そして、とうとう、食べる事もやめて餓死する。

この本『バートルビーと仲間たち』では、古今の著名な作家たちが

突然「書けなくなった」現象をバートルビー症候群と名付けて

作家たちのエピソードを交えながらお話が進みます。

世界と己が繋がっているであろう、書くことという行為をやめてしまった作家たち。

一行も文章を書かなかったソクラテス。

9歳ですべての著書を書き上げ、最後の日まで沈黙し続けたランボー。

めくるめくような4冊の本を書き上げ

その後36年間私生活の片鱗をも隠し続けたサリンジャー。

心の奥深いところで世界を否定している人たち

彼らは、何故、世界と己を切り離してしまったのか。

とても興味深い小説でありました。

心の奥深いところで世界を否定している人たち

惹かれてしまうからでしょうか。

まあ、私は書くことすら出来ない人間ですけどね。



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図説 死因百科 [本のこと]


図説 死因百科



作者: マイケル・ラルゴ
出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
発売日: 2012/06/21





アメリカでの様々な死にまつわる統計の本。

いったい、どれだけのアメリカ人がどんな理由で亡くなったのか。

日本にも当てはまるであろう死因の数々。

例えば、強迫性障害。有名なところではハワード・ヒューズ。
細菌恐怖症で、晩年は髭を剃ることも爪を切ることもしなくなり
服もボロボロになるまで着替えなかったそうです。
遺産総額は10億ドルを超えていたのにね。

★1999年の強迫性障害による死亡者は9816人

★毎年オープンカフェで食事中に250人が死亡

などなど。クスッと笑ってしまう死因から真摯に受け止める悲しい死因まで。

挿絵、写真などもおもしろい。
こぼれ話的なコラム欄みたいなモノもあるので、読み応えあり。


一家に一冊、家庭の医学事典があるように

一家に一冊、死因百科を。時たま、パラパラとめくって読まれるのが好ましい。


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無声映画のシーン [本のこと]


無声映画のシーン

作者: フリオ・リャマサーレス
出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
発売日: 2012/08/23





今、読んでいるスペイン作家フリオ・リャマサーレス氏の本。

スペインの小さな炭坑の町、オリューロスで幼年時代を過ごした
追憶的な私小説のようなお話の数々。

心に残る言葉のひとつ。

想像力とは発酵熟成した記憶にほかならない

ポルトガル作家、アントニオ・ロボ・アントゥネスのことば。

ただ、単に積まれただけの害もない発酵熟成しきれなかった記憶だけを

頼りに生きているモノには、想像力は生まれないという事なのかな。

恐い事です。

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